コラムCOLUMN
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BGMでの快適なオフィス環境作り
昨今、従業員の健康管理を推進する「健康経営®」※という言葉が広がり、それを実施する企業が増えてきています。背景には長時間労働や職場でのメンタルヘルス不調増加などがあり、今後ますます労働人口が減少するなか、従業員の健康管理は喫緊の課題ともいえます。
さらに、健康経営を実施することでさまざまなメリットが生まれるため、企業の経営戦略の一つとしても注目されています。
※「健康経営」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
健康経営とは「従業員の健康増進を重要な経営課題として考え、戦略的に実践していく経営手法」のことです。
従来の健康管理では、「労働安全衛生」をもとに職場での従業員の安全と健康の管理を行ってきました。
一方、今進められている健康経営とは、定期的な健康診断の受診や休暇取得などの最低限の施策に留まらず、健康をテーマとしたセミナー実施や環境作りなど多角的な取り組みを実施していくことが特徴です。
企業にとって従業員の体調不良が続くことは、モチベーションや集中力の低下を招き、生産性を下げてしまうことになりかねません。
体調不良による退職者が出れば、その分の新たな採用コストもかかってしまいます。それにより、企業収益の悪化を招き、健康経営への取り組みはさらに難しくなるなど負のスパイラルへと陥ってしまうのです。
不健康な経営状態が常態化すれば、最悪の場合企業の存続にも関わってくるでしょう。
このように、従業員の健康は大切な経営資源と考えられます。従業員の健康に配慮した取り組みを続けることで、企業を成長させ、生産性向上による収益アップを目指すという積極的な考えです。
実際に健康経営を行うことで企業側にはどんな効果があるのか、6つのメリットから紐解いていきます。
健康経営の背景には、企業における健康保険の赤字額の負担があります。健康保険連合組合会が発表した結果によると令和5年度の経営赤字は5,623億円。組合の約8割が赤字になっており、その負担は該当企業がおこないます。心身ともに健康な従業員が増えれば、医療費を削減することができるでしょう。
健康経営の背景には、企業における健康保険の赤字額の負担があります。健康保険連合組合会が発表した「平成 31 年度健保組合予算早期集計結果」によると平成31年度の経営赤字は986億円。組合の約6割が赤字になっており、その負担は該当企業がおこないます。心身ともに健康な従業員が増えれば、医療費は削減することができるでしょう。
従業員の健康をないがしろにしていると、労働契約法や労働安全衛生法に基づき罰則を受ける場合もあります。最悪の場合は、労働基準関係法令違反企業として公開され、企業のイメージを損ねる可能性もあります。法令遵守の意味合いだけでなく、従業員が不健康な状態で出勤し続けていると仕事中の事故や入院、最悪の場合には死亡するケースというものも考えられます。
企業側は医療費や労働災害費の負担だけでなく、代わりの人材の確保にもコストをかけなければいけないでしょう。何よりも現場の混乱を招き、会社全体の生産性を下げる事態にもなりかねません。
従業員の健康を守ることは、ひいては企業を守ることに繋がります。
働く環境が整えば、健康不良による退職や休職が減っていくことが期待され、自ずと離職率低下にも繋がって行くと言えます。人材確保がますます厳しくなっていく中、従業員の定着率改善は大きなメリットになり、人材の定着が進めば、長時間労働への対策や休暇制度の見直しなどさまざまな施策に取り組む余裕が生まれます。このように良い循環でさらに健康経営を推進していけます。
働く環境が整えば、健康不良による退職や休職が減っていくことが期待されます。自ずと離職率低下にも繋がっていくでしょう。人材確保がますます厳しくなっていくなか、従業員の定着率改善は大きなメリットといえそうです。人材の定着が進めば、長時間労働への対策や休暇制度の見直しなどさまざまな施策に取り組む余裕が生まれます。このように良い循環でさらに健康経営を推進していけます。
では、メーカー業という分野で導入するメリットとはいったいどんなものなのでしょう?ここで詳しく解説していきます。
経済産業省が平成30年度に公表した調査によると、就活生の4割以上が「福利厚生が充実している」企業や「従業員の健康や働き方に配慮している」企業に就職したいと答えています。「ブラック企業」という言葉が一般的となり、求職者にとって従業員の健康に配慮しているか否かは企業を判断する材料の1つになっているようです。
優秀な人材を確保するためにも、健康経営に対する企業姿勢を公表していくことは非常に重要であると考えられます。
健康経営は政府でも推奨しており、優秀な取り組みをおこなう企業を認定する制度が用意されています。
自社を社内外へ効率よくPRするためにも、認定制度をうまく活用していくことが重要です。
これから健康経営の各種認定制度についてわかりやすく紹介します。
経済産業省が実施する制度で、健康経営を行う企業の中でも、より優良な取り組みを実施している企業を認定して表彰します。認定企業には、「健康経営優良法人」のマークが付与され、自社製品や求職ページなどへ活用することができます。今後は、自治体や金融機関によって、融資の優遇制度などが受けられるなどのメリットがあるといわれています。
健康経営優良法人は「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」の2つの部門から成り立ちます。また、健康経営優良法人に認定された法人のなかでも、特に活動が優秀だった上位500社をホワイト500(大規模法人部門)、ブライト500(中小規模法人部門)として顕彰する制度もあります。
業種と会社規模によって申請区分が変わるため、申請する際には自社がどの区分に該当するか一度問い合わせてみましょう。そのほか、認定には健康経営度調査への回答が必須となります。こちらについては後ほど説明します。
2023年に認定された企業は、「大規模法人部門」に2,676法人(上位法人には「ホワイト500」の冠を付加)、「中小規模法人部門」に14,012法人(上位法人には「ブライト500」の冠を付加)が認定されました。
昨年度の健康経営優良法人2022認定数(大規模法人部門:2,299法人、中小規模法人部門:12,255法人)に対し、両部門とも大幅な増加が見られました。
健康宣言事業とは、各保険者(各地の協会けんぽや健康保険組合)が実施している制度になります。健康宣言をおこなう企業の健康づくりを支援し、保険加入者(従業員)の健康を増進させることを目的としています。
なお、健康宣言事業の名称は各保険者(協会けんぽや健康保険組合)によって異なります。例えば東京の協会けんぽでは「健康企業宣言」、愛知では「健康宣言」、大阪は「健康経営」となっています。
前述の健康経営優良法人(中小規模法人部門)に申請するには、健康宣言事業への参加が必須です。
健康経営銘柄とは、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定し、認定する制度です。
東京証券取引所における上場企業が対象となっており、長期的な企業価値の向上を重視する投資家にとって魅力ある企業を紹介し、企業の健康経営の取り組みを促進することを目的としています。
本制度は、認定された企業が株式市場などで正式な評価を受けることができるような仕組みづくりの一環としておこなわれています。認定には、健康経営度調査の結果が全体の上位20%であること、直近3年間のROE(自己資本利益率)の平均が0%以上であることなどが求められます。
従来までは1業種1社を基本としていましたが、健康経営度調査で各業種において最も高い成果を収めた企業の平均値より高い結果を出した企業も認定しています。「健康経営銘柄2023」では31業種49銘柄が認定されました。
健康経営度調査とは、実際に健康経営に取り組む企業の状況把握や分析をおこなうための調査で、平成27年から始まりました。
「経営理念」「組織体制」「制度・施策実行」「評価・改善」「法令遵守・リスクマネジメント」の5つの基準で評価され、主に健康経営優良法人や健康経営銘柄の選定に使用しています。
健康経営調査に初めて参加する場合は、まず調査票を入手しなければなりません。これは、電子データで入手することができます。委託先である株式会社日経リサーチに問い合わせると、IDやパスワードが発行されますので、専用のURLから調査票をダウンロードしましょう。株式会社日経リサーチの問い合わせ先は経済産業省のホームページより確認できます。
ちなみに上場企業や一度でも健康経営度調査を受けたことがある非上場企業に対しては、健康経営度調査の受付開始時に案内状が送付される仕組みになっています。健康経営優良法人などに選ばれる企業を始めとし、各企業の施策やその成果の統計を知ることができるので、経営を始めたばかりの企業にとっては今後の取り組みの方向性を検討する材料の1つとして活用できます。
具体的な取り組み方法として、4つの実行ステップがあります。1つずつ詳しく見ていきましょう。
健康宣言を行い、社内外に健康経営への取り組みを表明します。
健康経営の実施において、重要なのが健康経営宣言です。経営者自らが健康経営の推進を公表することで、従業員の意識変革、社内外での企業イメージアップが期待できます。健康経営を始めたいと考えたときに、まず取り組むものとして有効的です。
続いて社内の体制づくりです。
専門部署を設置するなどして、全社的に積極的な取り組みが重要になります。担当者に健康経営の知識がない場合は、外部のアドバイザー制度やセミナーなども活用しましょう。役員会などでも積極的に議題にあげ、取り組みやすい環境を整えていくことが重要です。
次に行うのが現状の把握です。
健康診断などの受診率や労働環境を確認し、改善が必要な点を洗い出します。従業員の健康状態を改めて把握してみると、「ある部署だけ残業時間が多い」「管理職のストレス数値が高い」など部署ごとの課題や問題点が浮かび上がってくることもあります。有給消化率や休日出勤の頻度まで割り出し、徹底的に調査を行いましょう。
最後は計画と実行です。
現状の課題から解決策を練っていきます。大事なのは目標を設定することです。例えば、残業を減らしたいならばノー残業デーの導入、健康診断の受診率を高めるために健康をテーマにしたセミナーを開く、など課題によってさまざまな方法が考えられます。計画を立てたら従業員に告知して実施していきます。実践していく中で、取り組み成果の検証も忘れずにおこなうようにしましょう。取り組み率が低ければ、従業員が楽しんでおこなうことができる施策に変えていくなど、次の取り組みに活かしていくことが重要です。
取り組みのポイントなどがわかったところで、企業の事例を紹介したいと思います。実際の効果なども紹介していきますので、自社の現状と照らし合わせて取り組みの参考にしてみてください。
ある大手メーカーは、予防を中心とした健康管理を実施しており、自社のヘルスケアセンターを設立するなど積極的な投資をおこなっています。
グループ内全社員の健康診断結果や有休消化状況などを把握し、全て数値化。経年での変化を分析することで次の取り組みへと活かしてきました。
さらに専門委員会を設立し、各拠点での取り組み推進を徹底。社内に健康づくりの活動を広めるための支援サイトを作るなど、全社での取り組みを推し進めてきました。結果、従業員の年齢は年々上昇しているものの、健康診断での有所見率は一定をキープ。社内イベントのヨガ教室などの参加人数も年を重ねるごとに増加していき、従業員の意識の変化も感じることができています。加えて、過去には5年連続で転職離職率0%という輝かしい成果を収めています。
北海道の建設業者では総務部が中心となり、健康経営の取り組みに関する情報提供や調整を進めています。建設業ということで体を動かす業務のため、はじめに健康診断の受診を徹底しておこなっていきました。
受診期間を閑散期に設けることで受診率アップを後押し。助成金を利用し、季節労働者の健康診断も促進していきました。再検査になった従業員がいた場合は、必ず目にする給料袋にメモを貼って受診を促すなどのフォロー態勢も万全です。さらに健康意識を高めるためのイベントを毎月実施。産業医からの講演や、体操を実践するなどの取り組みを通して、従業員の意識変革を推進しています。
このような活動が評価され、市で発行しているパンフレットで健康経営を積極的に推進している企業として紹介されました。パンフレットを見た就活生が魅力を感じて応募してきたことで、新入社員の獲得にもつながりました。
青森県の総合商社では、従業員がガンを患ったことをきっかけに健康経営への取り組みを強化してきました。推進には各事業所に健康経営の管理統括者を配置。本社と連携することで、全社一体の取り組みを続けてきました。
まず、従業員の働きやすい環境を支援するため、1時間単位の有給休暇取得を許可。有給休暇の取得が進み、従業員の私生活充実にもつながっています。また、県内で多いとされる大腸ガンの検診を会社負担で実施しています。女性特有のガン検診は自治体の制度を活用するよう推進し、検診の際は検診休暇を利用できるなど、受診を後押ししています。
県や市が活動に注目し、広報誌などで紹介されたことで、取引先企業から相談を受けることも増えたそうです。結果的に、自社商材である運動機器や椅子などのオフィス用品の販売促進にもつながりました。念願の健康経営優良法人にも認定され、採用にも活かされています。
企業によって課題はさまざまですが、取り組みも多岐に渡ります。健康経営は持続していくことが重要になるので、取り組みやすさも1つのキーワードとなるでしょう。ここでは実際に企業がおこなっている取り組みの中でも、ユニークな施策を紹介していきます。
社内での健康増進イベントへの参加や、従業員各自の取り組みをポイントで可視化するシステムです。
例えば、禁煙に成功した人にポイントを付与したり、ウォーキングで歩いた歩数をポイント化したりなど、方法はさまざまです。獲得したポイントは、健康関連アイテムへの交換や、社会貢献活動への支援にあてるなどで利用できます。このようにポイント制にすることで、従業員の意識変革やイベント参加率アップにも期待できます。
業務に役立つような資格取得にもポイントを付与すれば、社員のスキルアップにも貢献するでしょう。55歳以上の従業員に対し、一定数まで貯めたポイントを給与に追加するというプログラムを入れている企業もあります。従業員の継続意欲を刺激することで、健康の維持にも繋がっていきます。
緊張を解きほぐし、リラックス効果が期待できるものとして、オフィスBGMの活用も1つの手段です。音楽療法などの治療法があるように、音楽にはリフレッシュ効果や癒しの作用があるといわれています。職場でのメンタルヘルス対策などの一環として、取り組みやすいオフィス音楽から着手してみてもいいかもしれません。
また、サラリーマンを対象としたアンケートでは、静かすぎる環境を苦手とする人が大半を占めているという結果が出たといいます。オフィスは話し声や着信音など、雑音にあふれています。適度なBGMがあることで、雑音を程よくシャットアウトし、従業員の集中力向上に貢献します。
さらに音楽で場面を切り替えるという活用方法もあります。労働時間の短縮を目指す企業であれば、退社時間の告知として活用することで、従業員の意識づけにも役立ちます。
従業員が気軽に参加できるものとして、スポーツイベントの活用も有効的です。代表的なものの1つが運動会です。社内運動会は経費削減などの観点から廃止の動きが強まっていましたが、近年では健康経営の施策として再度注目されています。
運動会には決して体力作りだけが目的ではなく、部署間やチーム間を超えたコミュニケーションの活性化や従業員の結束力の強化などにも期待できます。運動会は費用や準備時間がかかり、なかなか実行に移せないという企業にはボウリング大会がおすすめです。ボウリング大会は、ボウリング場のレーンを予約すれば開催できるので、ハードルが低い上に人数の少ない企業でも取り組むことができます。激しい運動ではないので運動不足の解消とまではいきませんが、年配の方も参加しやすいイベントとしてメリットはあります。
このように運動会やボウリング大会などの魅力的なスポーツイベントを用意することで、体力増進だけでなく参加者の意欲やモチベーション維持を目指します。
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検証結果:音楽を聴くことによって、免疫力や体温など健康の度合いを測る数値が音楽を聴く前よりも良くなる傾向がみられました。
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