コラムCOLUMN
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BGMでの快適なオフィス環境作り
働き方の多様化が進む現在、「ABW(Activity Based Working:アクティビティ・ベースド・ワーキング)」は、もはや多くの企業にとって耳馴染みのある言葉となりました。
「今さら聞けない」という方もいらっしゃるかもしれませんが、ABWとは業務内容(アクティビティ)に合わせて、従業員が働く場所や時間を自律的に選択できるワークスタイルのことです。
単に席を自由化するだけのフリーアドレスとは異なり、「集中」「共創」「リラックス」など、目的に応じた空間を用意することで、オフィスの生産性向上を目指す手法としてすでに多くの企業で定着しつつあります。
しかし、多額のコストをかけてABW型のオフィスを構築したものの、「期待したほど生産性が上がらない」「特定のエリアしか使われない」といった課題に直面する企業は少なくありません。
本記事では、ABWを実現するためにまず必要な「ハード面」の整備から、見落とされがちな「音環境」の課題、そして生産性を高めるための「音のゾーニング」手法までを実践的なステップを交えて解説します。
ABWは「多様な働き方を支援し、個人のパフォーマンスを最大化すること」を目的としています。これを実現するためには、いきなりソフト面や環境面に着手する前に、まずは土台となる物理的な「ハード面」の整備が不可欠です。
業務内容に合わせて移動できるよう、機能の異なる複数のスペースを用意します。
どこに移動してもスムーズに業務が行えるインフラ環境も欠かせません。
これらが整って初めて、従業員は自律的に働く場所を選択できるようになります。
オープンなABWオフィスでは、「音」に関して大きく2つの相反する課題が発生します。
1つ目は、「静かすぎて会話しづらい」という課題です。共創スペースを作ったものの、フロア全体がシーンと静まり返っていると、周囲に会話が筒抜けになるのを恐れて「第一声が発しづらい」という心理的ハードルが生まれます。
「静寂がプレッシャーとなり、かえって仕事がしづらい」という経験は、多くの方がお持ちではないでしょうか。
2つ目は、その真逆である「うるさくて集中できない」という課題です。オープンエリアでのWeb会議や従業員同士の交流が急増した昨今、画面に向かって話す声や従業員同士の会話が、集中したい従業員にとっては深刻なノイズとなります。
「静かすぎて共創(コミュニケーション)が生まれない」空間と、「周囲の音で個人の集中が阻害される」空間。
この両極端な音の干渉をいかにコントロールするかが、生産性向上の鍵となります。
音の問題に対処する代表的な手段として、完全個室の防音ブースや、天井までの高いパーテーションの設置が挙げられます。
物理的な遮音は特定の用途にピンポイントで活用しつつ、空間全体の音環境をコントロールする別のアプローチが求められます。
物理的な壁だけに頼らず、ABWのオープンな環境を維持しながら音の課題を解決する手法が「音環境のゾーニング」です。
音環境のゾーニングとは、エリアごとに最適な「音(BGMやマスキング音)」を流すことで、目に見えない心理的な境界線を作り出す手法です。
人間は、耳から入る情報によって空間の性質を無意識に判断します。適度なマスキング音が流れていれば「ここは周囲を気にせず集中できる場所」と感じ、明るい音楽なら「会話しても良い場所」と認識します。
音を戦略的に配置することで、従業員の行動を自然に促すことが可能になります。
業務内容に応じて、以下のように音の性質を使い分けることが重要です。
| アクティビティ | エリアの例 | 求められる音環境の性質 | 具体的な音の最適解 |
|---|---|---|---|
| ソロ集中 | 集中ブース、 ソロワーク席 |
気を散らす会話や雑音を遮断し、没入感を高める。過度な静寂による緊張感を和らげる。 | 自然音(川のせせらぎ等)によるマスキング、テンポが一定のインストゥルメンタル音楽。 |
| 共創 | オープンミーティング席 | 活発な意見交換を促し、アイデア創出を支援する。 | アップテンポで適度な音量のあるBGM、会話のプライバシーを守るマスキング音。 |
| リラックス | カフェスペース、ラウンジ | 緊張を解きほぐし、偶発的な雑談が生まれやすい空気を作る。 | リラックス効果のあるジャズやボサノバ、カフェのような適度な喧騒を感じさせる環境音。 |
音環境のゾーニングを導入し、生産性を高めるための具体的なプロセスを3つのステップで解説します。
まずは現状のオフィスの「どこで・どんな音の不満があるか」を把握します。
「Web会議の声がうるさい」「静かすぎて相談しづらい」などの課題と、
エリアごとの本来の目的(集中、共創など)を平面図上で照らし合わせ、音の干渉が発生しやすいポイントを特定します。
ステップ1に基づき、エリアごとに最適な音響機器と音源(BGM・マスキング)を配置します。ここで重要なのは「音量と音質のバランス」です。
スピーカーの向きを調整し、特定のエリアだけに意図した音が届くように設計します。
音の感じ方には個人差があるため、一度設定したら終わりではありません。導入後、数週間から1ヶ月程度経過したタイミングでアンケートを実施し、
「集中エリアの音が少し大きい」「カフェの音楽を明るくしてほしい」といった声に基づいて微調整を繰り返すことが、継続的な生産性向上に繋がります。
音のゾーニングによってABW環境が最適化されると、企業にとって様々なメリットがもたらされます。
Sound Design for OFFICEをご導入いただいたNECソリューションイノベータ株式会社様では、ABWの推進にあたり、従業員が自律的に働く場所を選べるよう「音の使い分け」を実践されています。
黙々と作業を行う「ソロ集中スペース」では、マスキング効果のある自然音などを。
一方で、チームでアイデアを出し合う「共創スペース」では、少しアップテンポで明るいBGMを流すことで、無意識のうちに気分を切り替え、それぞれの生産性を高める工夫がなされています。(SDO導入事例:NECソリューションイノベータ株式会社 様)
「会社が自分たちの働きやすい環境づくりに投資してくれている」という実感は、従業員エンゲージメントを大きく向上させます。
快適な音環境は、オフィスに出社するモチベーションを高め、「この環境で働き続けたい」という定着率の向上にも寄与します。
改善効果を客観的に評価するために、以下の指標を用いることをお勧めします。
ここまで、ABWにおける生産性向上のためには、ハード面の整備をベースにした上で、目的に応じた「音のゾーニング」が不可欠であることを解説してきました。
USENでは、音楽や音環境が人間の心理・生理に与える影響について長年にわたり研究を行っています。
これらの知見から、単に音楽を流すのではなく、「空間の用途(アクティビティ)」と「音の性質」が調和したときに初めて、従業員のストレス軽減や集中力向上といった効果が最大化されることが示唆されています。
USEN WORK WELLが提供する「Sound Design for OFFICE」は、こうした音の力を最大限に活用し、ABWオフィスの課題を解決するために設計されたオフィス向けBGMサービスです。
ABWを導入したものの、オフィスの生産性やコミュニケーションに課題を感じている企業様は、防音ブースなどのハード面だけでなく、「音環境」というソフト面からのアプローチもぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
「Sound Design for OFFICE」は、従業員一人ひとりが最高のパフォーマンスを発揮できるオフィスづくりを強力にサポートします。

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