コラムCOLUMN
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BGMでの快適なオフィス環境作り
単調な作業になりがちな工場の現場。労働生産性を高めるためにはどうすればよいのでしょうか?近年では、オフィスや工場の生産性を改善するためにBGMを導入する企業が増えています。では、BGMにはどんな効果があるのでしょうか。今回は、工場で「オフィスBGM」を活用するメリットについて紹介していきます。
工場と音楽の関係とは?「職場で音楽を流す」という手法を実践したアメリカの話に触れながら紹介します。
心理学分野で数々の業績を残している大学といえば、世界的にも有名なアメリカのスタンフォード大学です。この大学は、2007年にヒトと音楽の影響について実証研究を行い、その結果を論文で発表しました。それは、オフィスBGMと労働生産性の相関関係を強く裏付ける内容でした。
スタンフォード大学の実験によれば、音楽にはヒトの脳に作用し、集中力を高めたり学習能力を向上させたりする効果があるというのです。心理学分野で世界的な権威のあるスタンフォード大学。2007年の実証研究は、のちに企業がオフィスBGMを取り入れるきっかけとなった研究であるといえるでしょう。
20世紀の初頭、アメリカ経営学理論の祖であるフレデリック=テイラーがストップウォッチを使って工場労働者の生産性を「客観的に」測定して管理する試みを実践しました。いわゆる「テイラーシステム」です。このテイラーシステムは、のちに様々な形に応用されていきます。
その顕著な例が、第二次世界大戦中のアメリカでした。大戦中、アメリカは戦備を整えるために、兵器開発の効率運営を追求しました。そのために実践された方法が「インダストリアルミュージック」(工業音楽)でした。工場員の作業能率を上げる目的で、アップテンポな音楽をBGMとして活用したのです。その効果により労働生産性は著しく上昇したといわれています。
ところが、このインダストリアルミュージックは、あまりにテンポのいい音楽であったために、工場員たちを極度に疲れさせてしまい、苦情が殺到してしまうのでした。そこで工場側は、アップテンポな音楽だけでなく、適度に工場員たちがリラックスできるようなムーディな音楽も織り交ぜるようになりました。実はこの配慮こそ、現在企業に広がりつつある「オフィスBGM」の始まりなのです。
オフィスBGMは、音楽がヒト(の脳)にもたらす良い影響を活かして労働生産性を向上させる手法のひとつです。音楽のセラピースティックな側面、すなわち精神的な安定をもたらす効果は、すでに医学的にも充分に周知されている事実です。音楽とはまさに、どれだけ摂取しても副作用のない良薬のようなもの。人類が古くから音楽に親しんできた理由もうなずけます。
音楽がもたらすリラクゼーション効果は、従業員の表情にも如実に表れます。固い表情のまま仕事をしていると、相手との意思疎通もぞんざいになり、ときには無用なトラブルを引き起すことさえあります。コミュニケーションを円滑にするだけでなく、外部の人間が工場をみたときに良い雰囲気だという印象を抱いてもらうためにも、オフィスBGMの導入は有意義だといえるでしょう。
音楽には「イメージ導入効果」というものがあります。作業中にBGMが流れていると、次第にBGMと作業とを結びつけるようになり、モチベーションアップにつながります。気持ちの切り替えにもなるのでおすすめです。仕事場にいるときにBGMが流れるのが常態化すると、従業員の意識の中にBGMが習慣化します。すると、従業員は仕事場に赴くたび自然と「仕事モード」に入りやすくなるわけです。
もしもBGMがなければ、たとえばダラダラとした朝の雰囲気に呑まれたまま仕事に取り掛かることもあるかもしれません。せっかく朝礼をしたのに、いまひとつピリッとしない日はあるものです。いつでも仕事へのモチベーションが高ければいいですが、わたしたちの気持ちは移ろいやすく、波があります。こういうときは、仕事でミスが増えてしまう恐れがあります。だからこそ、メリハリをつける意味でもオフィスBGMは役立つのです。
オフィスにBGMという発想を。オフィスにBGMを流すだけでポジティブな効果がたくさん!
オフィスには「オフィス専用」のBGM、ぜひ試してみませんか?
工場現場にオフィスBGMを導入したことでどんな実際的なメリットがあるのでしょう?とある企業の実例をみていきましょう。
オフィスBGMを導入した事例として、大手物流会社では従業員に有線BGMのリクエストを募り休憩の時間などに流したり、ラジオ体操をみんなで一緒に行うようになったりしたとのことです。はじめは従業員の体調を管理する目的だったラジオ体操でしたが、結果的に職場の一体感が増したといいます。
ピッキングなどの単純作業では、どうしても仕事それ自体が無機質なものになりがちですが、そこにBGMを導入することで、音楽でモチベーションを上げながら作業をすることができるようになります。リクエストした音楽が流れたら嬉しい気持ちになり、業務にも前向きな心構えになれるのではないでしょうか。
この会社の事例をみてみると、単純作業系の現場では、従業員に好きな音楽のリクエストを募るというのがポイントのようです。単調になりがちな仕事に、好きな音楽で従業員の心に潤いを与える、そうした配慮が結果的に労働生産性向上につながっているのでしょう。
最後に、オフィスBGMの効果を端的にまとめていきます。
「マスキング効果」は、BGMの心理的効果のひとつ。集中力をかき乱す余計な雑音を遮り、心地よい音楽で精神的な安定をもたらします。喫茶店やレストラン、デパートなどで流れるBGMは、お客の気持ちをリラックスさせるためにあるのです。オフィスBGMへの注目が高まっているのは、実はこのBGMが持つ効果のためなのです。仕事に集中できないときに限って気になって仕方がない雑音。オフィスBGMは、モチベーションの維持だけでなく、仕事への集中力が下がってしまったときにも役立ちます。
歌詞のある楽曲ももちろん良いのですが、さらなる労働生産性の向上を期待するなら、歌詞のないクラシック音楽がおすすめです。心理学的・医学的にも、クラシックのほうが集中力や作業持続力が高まるといわれています。
上記のことから、単調になりがちなルーティン作業系の現場でおすすめできるBGMは、歌詞ありと歌詞なしをくらべて考えてみると、歌詞のないクラシックやその他BGMがおすすめです。スローテンポなリラクゼーションタイプや、作業効率を高めるアップテンポなタイプまで、さまざまに種類があるため選択肢が広いのも魅力です。
退屈でモチベーションが低下しやすい工場作業。そうした現場の労働生産性を向上させるためにも、オフィスBGMはたいへんおすすめです。マンネリ化しやすいルーティン作業に刺激や楽しさをもたらす意味でも、BGM導入は一考に値するといえるでしょう。
オフィスにBGMという発想を。オフィスにBGMを流すだけでポジティブな効果がたくさん!
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