1. コラム
  2. 効率的な働き方
  3. 第5回 どうやって、業務の偏りをなくしていくか?

効率的な働き方

連載 経営戦略としてのワーク・ライフバランス

第5回どうやって、業務の偏りをなくしていくか?

なぜ業務は特定の人に偏るのか?

今回から、多くの企業に共通している課題を見ていきます。コンサルティングの現場からは、よく「特定の人に業務が偏っている」という相談をいただきます。私たちはこの状況のことを「業務属人化」と呼んでいます。(企業によっては「個人商店化」と呼んでいたりもします)「優秀な人に業務が集中してしまう」との声も聞かれますが、本当なのでしょうか?実は、優秀なのではなく業務を手放すことができていないだけ、かもしれません。

業務を手放すことができない理由は大きく2つあります。
①育成するスキル・手段を持っていない
(育成のための時間を確保するタイムマネジメントができてない)
②自身の業務が他の人に奪われてしまうという恐怖感を持っている
後者の場合は単にスキルの問題ではないため根深く、特定の業務を「自分にしかできない」と思い込み、優位性や評価を保つために、簡単に人に業務を渡そうとはしません。

「自分にしかできない」はなぜダメなのか?

業務の属人化によりさまざまなリスクが生じます。例えば誰とも業務を共有していないメンバーが病気などで休んだ際、トラブルが起こると他の人では対応ができないために、損失が発生することもあります。また、業務量を長時間労働で補っている場合には、介護などの問題が降りかかった際に、業務をこなすことができなくなり、退職の道を選ぶということも考えられるでしょう。
連載の第1回目で紹介した社会的な背景により、複数担当制を敷いていなければ事業継続が困難になる危険性すらあります。この後、複数担当制の実現方法を詳しく見ていきますが、取り入れるにあたっては、まず社内・部内で「自分しかできない」から「誰でもできる」ように複数担当制を進めていくことの合意を丁寧に取っていくことが肝要です。

属人化を解消するために―①複数担当制

複数担当制とはその名の通り、1つの業務を1人が担当するのではなく、1つの業務を複数の人が担当する体制を構築することです。後述するスキルマップやマニュアル作成を通じて、お互いの業務をカバーしあうことのできる、柔軟で強い組織を作ることに繋がります。

属人化を解消するために―②スキルマップ

複数担当制実現のためにも、まずはチームメンバーのスキルを可視化しましょう。その際、スキルマップ(図1)が役に立ちます。縦軸に部署の業務や身に付けるべきスキルを、横軸にメンバー全員の名前を書いていきます。業務と人とがクロスする箇所を見て、その業務を人に教えることができるのであれば○、1人で進めることができるのであれば△、できないのであれば×といった具合に記号を書いていくと、誰にどんな業務が偏っているのか一目でわかります。「Aさんはこのスキルを、Bさんはこのスキルを身に付けよう。そのためにCさんはAさんとBさんのサポートをしよう」という具合に、育成計画を話し合うことにも繋がるのです。
ある自動車部品メーカーの設計部門では、スキルマップを取り入れ、「半年後に○を全体の●●%、△を●●%まで引き上げよう」と、育成計画を数値化し目標設定をしていました。その企業では最終的に縦軸を109項目設定していたのですが、導入時には30項目くらいに収めて徐々に増やしていく方が使い勝手はよいでしょう。

スキルマップ

属人化を解消するために―③マニュアル休暇

育成計画を立て、AさんがBさんに業務を教えることが決まったとします。その時に有効なのは、マニュアル休暇(図2)という取り組みです。一般的に、マニュアルは、業務に関する知識を有している教える側が作成することが多いでしょう。しかし、あえて教わる側が作成するようにします。教える側がマニュアルを作成すると、業務に慣れすぎていて業務手順を短縮してしまったり、細かい注意ポイントを盛り込まなかったり、ということが起こります。教わる側が疑問点を質問しながら作成するとことで「痒いところまで手が届く」実用的なマニュアルができあがります。
更に、マニュアルが完成した後、教える側はご褒美として長期休暇を取り、その間に教わる側が1人で業務を行うようにします。教える側不在の中で実際に業務を進めるという緊迫感が、教わる側を真剣にさせ、マニュアルの完成度が高まります。
取引先などに多大な迷惑がかかる危険性のある業務では、段階を追って実施することになると思いますが、マニュアル作成による引継ぎと休みをセットにする効果は高いのでチャレンジしてみることをお勧めします。

マニュアル休暇

複数担当制を実現し、今後の日本社会の荒波に負けない、柔軟で強い組織を作っていきましょう。

■レビュー

多くの企業が共通して抱える「業務属人化」について。「優秀な人に業務が集中」するのではなく①育成するスキル・手段を持っていない ②自身の業務が他の人に奪われてしまうという恐怖感を持っている。という2つの理由があるようです。誰かが休んでしまう、担当者が出張で不在になったとしても、別の担当者によって業務が滞りなく進むようにしたいものです。その仕事に「複数の担当者を割り当てる」ことが理想の解決策のようです。弊社でも無理なく働け、柔軟で強い組織となるように人事異動が年に数回行われています。

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株式会社ワーク・ライフバランス ワーク・ライフバランスコンサルタント 村上 健太(むらかみ けんた)

【経歴】
2008年 SBI損害保険株式会社入社 管理本部配属。
2012年 株式会社ワーク・ライフバランスに参画。
仕事を抱え込む傾向にある長時間労働のクライアントに対し、効果的なアドバイスを行うことで定評がある。

https://work-life-b.co.jp/

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