抱える課題によって対策は大きく異なります。4社の事例を見ていきましょう。
【A社 営業部門】
海外の取引先から退社時間帯に問い合わせが来ることが多く、それを待ってしまい残業が続いている状況でした。また、取引先から送られてくる資料には不備が目立ち、不足情報をヒアリングするという手間が発生。そこで、部門内の若手社員(30歳前半)を現地に送り込み、どのような業務フローが理想的なのか、まるでその会社の社員のように一緒に検討。資料類もヒアリングの手間が発生しないように記載項目を整備し、更には「日本時間の●●時~●●時であれば、電話に確実に出ることができる」と相手にメリットがある形で伝え、電話が業務時間内に来るようにコントロールすることに成功しました。
【B社 システム開発部門】
お客様からエラーが発生すると、すぐにお問い合わせが来てしまい、業務がストップしてしまう状況でした。そこで、マニュアルを分かりやすいように更新。また簡易版のマニュアルも作成しお客様に配布。更には、エラー発生時の表記がアルファベットと数字のみで分かりづらいことが、マニュアルを見もせずにお客様が問い合わせてしまう原因であると仮説を立て、エラー表示の際にあわせて日本語で「1度シャットダウンしてください」「マニュアルの●●ページをご覧ください」等、具体的なアクションを促す表記を追記しました。こうした一連の取り組みを通じ、問い合わせ回数の削減に成功しました。
【C社 開発部門】
営業部門の製品への理解が足りないため、開発部門に直接お客様から質問が来てしまうという状態が続いていました。開発部門は営業部門への不満を募らせていたのですが、発想を変えて営業部門に向けた勉強会を開催。製品への理解度が上がったことで、開発部門に頼らずに営業部門だけで回答できるようになり、開発部門へのお問い合わせが激減しました。
【D社 調達部門】
適切なタイミングで発注をしても取引先の納品のタイミングが遅れ、そのカバーするために長時間労働が発生していました。そこで、各社の未納件数を比較するグラフを作成。その情報を取引先全てに展開。どの企業が特に納品が遅れているのか、一目で分かってしまう状況に。結果、取り組み開始前と開始後では、1月あたりの未納件数が251件→31件と約88%も削減することに成功しました。
この他にも、共同研究開発している企業に、資料提出の期限をルール化することを提案し、資料提供までの待ち時間を減らすなどの工夫をしている部門もありました。