前回、ワーク・ライフバランスの本質とは「ワークとライフがお互いよい影響を及ぼしあいながらシナジー(相乗効果)を生みだすこと」だと伝えました。では、社員のワーク・ライフバランス実現のために企業は何をすべきなのでしょうか?
施策について触れる前に、そもそも多くの企業に共通している問題はどのようなものか。900社以上のコンサルティングを通じて見えた問題4点を紹介します。(図1)
多くの企業ではまず①②に着手します。中でも対策に制度整備を含む②に力を入れる企業は多く、法定以上の制度を整えていることも少なくありません。しかしながらそのような企業からも「作った制度が使われない」「復帰した社員が辞めてしまう」といった声が聞こえてきます。真の要因は実は③「長時間残業の恒常化」と④「マネジメントの理解」にあるのです。
長時間労働が当たり前となっている職場では時間外に会議が行われる等、短時間勤務社員が働きづらい環境である可能性があります。また、マネジメント層に時間あたりの生産性を評価する意識がなければ、効率よく働いたとしても労働時間が短いため評価の対象になりません。時間の長さで評価してしまうと、時間制約のある社員のモチベーションを下げ退職に追い込んでしまうのです。
多くの組織ではまず①②に着手をしようと考えますが、④→③→②→①の順で組織を変えていくことが一見遠回りに見えて実は効率的なのです。