有識者の声

オフィスの環境改善~コミュニケーション活性化の実現を目指して~

オフィスの環境整備は社員を軸に考える

 オフィスの環境改善と聞いて、みなさんは何を思い浮かべるでしょうか? 一人あたりの面積を広げること、もっと快適なオフィス環境を整えること、リラックススペースを整えること。入れ物としてのオフィスについて考えることが多いかもしれません。

 入れ物はあくまでも入れ物であり、それが仕事をするわけではありません。入れ物を活用し仕事をする社員を軸に考えることが大切です。

 社員を軸に考えるといった場合、重要なのが社員にどのようなって欲しいのか、社員にどのような動きをして欲しいのか、ということを考えることです。よく言われるところの「働き方変革」の実現です。

コミュニケーションの数と質を高める工夫

 コミュニケーション活性化の実現のためオフィスの環境改善、ポイントは3つです。見える化、ミーティングスペース、マグネットスペースです。順を追って説明しましょう。

 オフィスの見える化とは、誰がどこで、どのような仕事をしているかが一目瞭然のオフィスです。執務室内に背の高いキャビネがなく、間仕切りがないオフィス。会議室もガラス張りであり、どのようなメンバーで何が討議されているかが分かる。あるいは、間仕切りがなく、誰でも自由参加の会議スペースを構築している企業もあります。オフィスの見える化により、会話のきっかけがそこかしこに見えることになります。

 自らの課題に関係する仕事をしているなど、会話のきっかけを見いだしたら、次に必要なのは会話のできるスペースです。よく言われるちょいミーティング・スペースの配置です。会話したくても、スペースが見つからなければ、良いアイデアも死んでしまいます。会話したい時にすぐに会話できるスペースを、オフィスのあちらこちらに配置しておくことで、コミュニケーションの数が増えてきます。

 そしてマグネットスペースの配置。コピーやプリンターなどの共用機材をオフィスの一か所に集めることで、偶発的な出会いを作り出すのです。日ごろ会話する機会のない他部門の同期社員が、同様に出力を待っていれば、「久しぶり! いま何の仕事をしているの?」、このような会話が生じる可能性があります。また、コピーをしに、わざわざその場所まで歩かなければならないので、出会いの可能性が高まります。ゴミ箱を一か所に集めている企業もあります。

 オフィスの環境整備。音にこだわっている企業もあります。階段にリラックスできる音楽を流し、エレベータを使わず階段を使う社員が増えたという事例。さまざまなタイプの机といすがあるミーティング・スペースで、せせらぎの音を流し、集中力を高める工夫をしている事例もあります。

 コミュニケーションの数を増やす取り組みと、オフィスの音を工夫することで、コミュニケーションの質を高める工夫。オフィスの環境整備、まだまだできることはありそうです。

豊田 健一
豊田 健一
Kenichi Toyoda

早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルート、株式会社魚力で総務課長などを経験後、ウィズワークス株式会社入社。現在、日本で唯一の管理部門向け専門誌『月刊総務』の編集長を務めると同時に、ウィズワークスの社内組織、ナナ総合コミュニケーション研究所所長として企業のインナーコミュニケーションを研究。一般社団法人ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアムの理事や、総務育成大学校の主席講師も務める。一方、10余年におよぶ社内報編集経験から、多業種の社内報創刊・リニューアルをコンサルティング。ウィズワークス社内報事業部長を兼任。